時期が来たので仮想通貨の会計について語ります

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仮想通貨の会計基準について 企業会計基準委が原案を発表しました

仮想通貨、企業会計基準委が原案(2017/10/5) 

 楠 正憲‏ @masanork 9月8日
「そろそろ草案が出てくるタイミング、追っかけなきゃ / “仮想通貨の会計ルール、9月メド草案 会計基準委」

 

仮想通貨の会計基準について。ABSJから原案が11月に公表される予定です。保有する仮想通貨について企業は毎期に時価で評価し直し、簿価との差額を損益として「仮想通貨運用損益」として処理。

 

ということで、日経の2017/10/5の記事で仮想通貨の原案が発表されましたね。

www.nikkei.com

  

 

そもそも会計基準委(ASBJ)ってどんな組織?

企業会計基準を検討する。日本の会計基準設定主体(組織)です。
仮想通貨については新しい分野ですので、ASBJが主体となって会計基準を検討しているのですね。

下記のページで議事内容なども公開されています。

 

 

第370回企業会計基準委員会 Webcast|企業会計基準委員会:財務会計基準機構

 

 

今回の発表で抑えておくべきポイント

抑えておくポイントとしては下記でしょうか。

決まったこと

  • 取引所が顧客から預かっている仮想通貨については貸借対照表の資産に計上するとともに、同額の負債を計上する
  • 企業が最も頻繁に利用している取引所の価格から仮想通貨の時価を算出する
  • 流動性が乏しく売買や換金が難しい場合、取得した価格を計上する
  • 企業は所有する仮想通貨を、毎期末に時価で評価し直し、簿価との差額を損益として処理する

これらについてを、企業会計基準委員会は11月メドにルール案をまとめて公表する方針とのことです。

残る論点

  • 企業がICO=イニシャル・コイン・オファリングした場合の会計処理

とのこと。

 

 

原案を受けての感想と今後

決まった部分に関していうと、企業の会計基準の扱いとしては、「売買目的有価証券」に近い扱いということでしょうか。

 

売買目的有価証券|金融商品|新日本有限責任監査法人

 

ICOの扱いについては 、株式や社債のように資金調達として扱われるのか、商品の販売のように売上として扱われるのかによって、会計処理や手元に残る現金もかわってきて影響も大きい部分ですので今回で結論は出さなかったというところでしょうか。

 

いずれにせよ、今後、仮想通貨への投資が広がるために一歩前進ということでしょうか。今後、ICOの扱いや企業会計基準だけでなく、税務基準なども整備されていくはずですので引き続きウォッチしていきます。